就業規則の届出について

就業規則の届出の方法ってどうするの?

意見書を作成した後、表紙になる「就業規則制定届」を2部作成し、会社印(捺印は省略可)を押します。 就業規則とすべての諸規程を正副2部作ります。そして管轄の労働基準監督署へ届け出ます。 労働基準監督署では、担当者にもよりますが、窓口で全文をチェックすることはまずありません。 時間的な問題だと思いますが、パラパラと労働時間や定年規定あたりを見て、収受印を押して、副本を返してくれます。受け取った副本は会社で大切に保存します。 届出する会社さまとしては、「労働基準監督署に何か言われるではないか・・・」とヒヤヒヤしていたかもしれないのに、あっさりと「おつかれさまでした。副本です。」と終わります。 ここで少し不思議な気がしませんか? 労働基準監督署は就業規則のすべての内容をチェックせずに、収受しました。 届出したらそれですべてOKなのでしょうか? 確かに監督署はその時は全文をチェックしませんが、「後日内容をチェックする」と言っています。 そのときに連絡する会社の担当窓口を聞いたりしています。法律的に問題がなければ後日連絡が来ることはないと思いますが、届け出るべき協定書が未届けだったり、法定を下回る基準で定められた条文があれば後日、連絡があると思ってください。会社にとって仮に不利になっている条文があってもそれをチェックしてくれるわけではありませんから、会社は独力でしっかりと内容を検討しなければなりません。 私自身、届出を多数行っていますが、これまで監督署から問い合わせを受けたことは一度もありません。今は電子申請でも届出ができるようになっています。 就業規則の効力としては、実は監督署への届出よりも社員への周知の事実が優先されます。常時10人未満の会社さんの場合、法的には届出の義務が課されていないので、届出自体を効力要件にしていません。
「労働基準監督署に対する就業規則の届出は、就業規則の内容についての行政的監督を容易にしようとしたものに過ぎないから、届出は就業規則の効力発生要件ではなく、使用者が就業規則を作成し、従業員一般にその存在及び内容を周知させるに足る相当な方法を講じれば、就業規則として関係当事者を一般的に拘束する効力を生じると解すべきである。<中略>(NTT西日本事件、京都地裁平成13年3月30日判決)」
「監督署へ届出が終わったから、安心!」なのではなく、社員へ周知徹底できたときから就業規則の効力が発生するとお考えください。もし就業規則で定められた施行日より周知日が後であれば周知日から効力は発生すると考えられています。

就業規則の周知ってどうするの?

「就業規則等を労働者が必要なときに容易に確認できる状態にあることが『周知させるための条件である』」(平成11年3月31日基発169号)
と行政は説明しています。 例えば、社員に1部ずつ配布、PCで常時閲覧可能な共有フォルダにアップする、文書で各事業所に複数部設置する、掲示するなど、いつでも閲覧できるようにしておくことをいいます。 このほか、「手渡ししても読んでくれるかどうか・・・」心配な場合や、後日のトラブルを避けるためにも、「就業規則説明会」を実施する会社さまもあります。この時は、就業規則すべての説明をするのは物理的に困難ですので、「就業規則ハンドブック」のような小冊子や、コンパクトなレジュメを配布して、特に疑問が多く出そうな部分に絞って説明していくと効率的ですし、社員のみなさんも安心されることでしょう。実務担当者も今後の手続事務をよりスムーズに行なうことが出来ると思います。 そしてこれからが就業規則の本当の始まり、「運用」です。 実際に運用するにあたっては、原則は就業規則で定めた施行日以降となります。