かとう事務所が考える就業規則とは?

就業規則ってつくってないといけないの?

はい、10人以上の会社さまは届出の義務もあります。10人未満であっても、ルールがない、ということは労務管理上問題を抱えるリスクがありますね。

就業規則の他に会社のルールブックとして「業務規則」というものもあります。これは法律的に強制されるものではなく、会社任意の形式で作成できるものです。新入社員の方を対象に、会社の業務に関するルールや規則を示すものです。これも就業規則と並んで、会社さまが備えていかれるとよいでしょう。

最近はこんなことをよく耳にしますが、いかがでしょうか?

こんなことが有った時に会社はどうすればよいのでしょうか?従業員が監督署へ駆け込めば、数日以内に監督署が会社へ、もちろんアポなし(笑えません)で調査に乗り込んできます。そのときには、監督官は必ずこう言います。「実態を調査しますので、御社の就業規則、労働契約書を見せてください」。 御社を守るものこそが「就業規則」「労働契約書」などの紙媒体なのです。

「ウチの会社にはちゃんと就業規則があるよ!」という会社さま、「就業規則がある」ということは今度はそこに書かれている内容が重要になってきます。就業規則がある会社さまにお聞きすると・・・・

これで果たして会社を守ることができるでしょうか?

そして社長は誰が守ってくれるというのでしょうか?

一部の問題社員には速やかに去っていただき、やる気のある真面目な社員が真に力を発揮できる、そんな就業規則ができるのです。

当事務所は御社のご希望に沿って、ご提案いたします。就業規則には、御社が求める理想の従業員の姿をイメージし、経営者がこうありたい、という具体的な思いを反映させることが重要です。

就業規則と問題社員

最近、社員の問題行動がメディアでさまざま取り沙汰されています。あたかも問題社員が急増してきたような様相です。

本当に問題社員が急激に増えてきたのでしょうか?

結論はNOです。昔から問題社員は存在していたはずです。ただそれが表面化されにくかっただけではないでしょうか。

理由(1)
具体的な労働法に関する知識が少なかった。
理由(2)
「会社に文句を言う」ということに抵抗があった。

このような背景があったため、トラブルに発展することが少なかったのではないか、思います。

しかし今は違います。

ネットで仕入れた豊富な法律知識があります。自分の権利のためなら、会社を訴えることに抵抗感はありません。

当然なんの話し合いも無く、いきなり「出るとこ、出ましょ!」となります。労働法に無関心な社長さんは、このやり方に無性に苛立ち、話し合いの余地もなく、泥沼の労使紛争が始まります。

この他、世代間における仕事に対する意識の差・常識の違い、価値観の変化、社会構造の変化が影響しているように思います。これらをいくつかのキーワードでまとめてみました。

なんでもネット

24時間(業務中でも!)インターネットを使って自由に情報を取り出すことが出来ます。今は誰かに相談する前に、知りたいことをまずネットから探します。ネットは匿名性が高い世界ですから、身分を明かさずに、主観(正しいか間違っているか問わず)に基づいた情報でも自由に掲載することができます。「こんな会社を訴えましょう!」と過激な労働者応援型のサイトも多数あります。良くも悪くも、ネット情報から受ける影響は想像以上に大きいものだと考えるべきでしょう。

インターネット以外にも、最近はテレビでも「訴えてやる!」をキャッチフレーズとした法律関連番組の人気が高いようで、社会全体が「権利」に敏感になってきています。特に若者の中には独学の法律知識で武装した方も増えてきました。そんな若者に中小企業の社長さんは戸惑いを感じてしまいます。

ガマンより転職

終身雇用制度は崩壊し、以前よりも転職に対して抵抗感が薄れています。

お世話になった先輩、後輩という上下関係も薄れています。

子供が会社を辞めたい、というと「ガマンしなさい」という親が大多数だと思っていましたら、「いやなら辞めればよい」「辞めたくなるのは会社に問題があるから」という親御さんが非常に増えている、という統計もありました。

転職が珍しくなくなったことで、短期間に多くの会社を渡り歩き、会社との紛争に熟練している(?)ヒトもいます。実際に、入社間もない社員が問題社員に変貌することが多いようです。

ワークライフバランス

仕事ばかりの生活は良くない、今の人生を楽しむ、という意識も高まっています。将来に不安を感じ、高度成長時代のような楽観的な展望が望めないこの現代、仕事だけに縛られた人生はいやだと、若者は考えるのです。仕事は一人前かどうかはさておき、当然の権利として、先輩に遠慮なく会社の休日、休暇、年次有給休暇もしっかり取得します。また会社への帰属意識が薄れており、ドライな考え方をするヒトも増えています。「会社にお世話になる」という考え方をする若者は減っており、むしろ「働いてあげている(?)」と感じるヒトが増えているのかもしれません。

仕事でうつ

メンタルヘルスに対する認識の変化も見逃せません。現在の心療内科やメンタルクリニックは、美容院のように、明るく入りやすい雰囲気で、私たち社会の中で身近な存在になっています。今の時代、精神疾患はマイナスイメージなものではありません。(これも時代の変化でしょうか?)

若者の中で精神疾患は、「デリケート」「繊細」などを連想させるようです。そのため若手社員は「うつ病です」と宣言することに抵抗が少なくなってきています。まだ半人前でもないのに「仕事でうつになった」と長期欠勤する若手社員に、会社、上司、先輩社員は困惑させられます。

コミュニケーションスタイル

ケータイ社会で育った若手社員のコミュニケーションは対話よりメールです。報告は顔を見て口頭で行おうが、ケータイメールであっても、内容が伝われば「同じ」と考える世代です。遅刻や欠勤をケータイメールで連絡してその後は知らん顔、は珍しいことではありません。「まずは顔を見て、直接報告」と考える会社や上司は、なんでもメール報告で済ませる若者の気持ちを理解できません。

上司への報告がメール化されると、日常から上司に直接相談することがなくなります。上司は何も相談されないので、万事うまくいっていると思ってしまいますが、ある日「会社を訴えてやる」のメールが届き、会社、上司は慌てます。

義務と権利

元来『権利』は『義務』と表裏一体であるはずです。これを会社と社員に当てはめて考えてみます。社員の主な権利は労働基準法がしっかりと規定しています。では義務はどうでしょう?なにも規定されていないのです。

会社が社員に求める義務を具体的に、伝えなければならないのです。

会社が伝える努力をしていなければ、当然社員は会社が求める働きをしてくれないことになります。義務を棚に上げて権利を主張するのが、もちろん問題なのですが、これまでのように会社が社員に抽象的に「まじめに働く」「きちんと仕事をする」「これは常識」と一般論で諭しただけでは、今の時代、社員には分かってもらえないことを理解する必要があります。

最近の若手社員の背景をいくつか考えてみましたが、いかがでしたか?

最近は「シュガー社員モンスター社員」こんな言葉を耳にすることが増えました。

また新しい言葉として、会社に文句は言うけど、とにかく辞めない、という

「ぶら下がり社員」という言葉も使われるようになっています。

シュガー社員とは?

過保護に育てられたためか、自分に甘く他人に厳しく、向上心、責任感が全くなく、仕事は半人前であるにも関わらず、インターネットで労働法の知識は豊富、自己の権利だけはしっかりと主張する問題社員の呼称。

【引用:田北百樹子著「シュガー社員が会社を溶かす」】

モンスター社員とは?

一筋縄では対応できない問題社員の呼称。処遇に不満を持つとなぜか本人ではなく、母親、父親、妻、夫が会社に文句を言う、周囲に迷惑をかけようが、お構いなしに有給休暇、福利厚生など会社の制度は徹底的に利用する。自分の権利が少しでも侵害されると、話し合いは一切せず、行政を巻き込みいきなり裁判で会社を訴える、パワハラを繰り返して次々に社員を潰していく、メンタルヘルス悪化を装い、休職制度をとことん悪用する、などの事例があります。

【引用:涌井美和子著「ビジネスガイド別冊6月号」】

「就業規則はないけどウチはこれまでなんの問題もなかったよ・・」

という社長さま、今後もずっとその保障はありますか?

今働いてくれている社員さんはともかく、昨今話題になっている「シュガー社員、モンスター社員、ぶら下がり社員」が御社にいつ入社するとも限りません。

もちろん事前に問題社員と分かっていれば採用する会社はないでしょう。

しかし面接だけで人柄まではなかなか分からない、というのが実情ではありませんか。実際に働いてもらわないと分からないものです。

万が一、こんな社員が入社してきたら、御社はどんな対応ができますか?

一度入社してしまえば、シュガー社員、モンスター社員、ぶら下がり社員も法律で守られます。

ではさっさと解雇してしまえば解決でしょうか?

入社前の面接以外にも、こんな社員が入社してこないような工夫はされていらっしゃいますか?

就業規則で対策可能なことがあります!

就業規則は唯一のツール

会社を守ることができる唯一のツール、それが就業規則です。

「就業規則は、当該事業場内での社会的規範たるにとどまらず、法的規範としての性質を認められるに至っているものと解すべきである。」(秋北バス事件、最高裁昭和43年12月25日大法廷判決)判例が示しているとおり、就業規則は会社の憲法=ルールだからです。

ルールがないから、もめる

中小企業の中途採用ですと、実際は面接で大体の給与の枠組みを決めて、細かい条件を入社前に説明することもなく、入社日を迎えてしまいます。

実績のない「よく分からない」相手が入社するのです。いいこと、悪いこと、何があっても不思議はありません。面接時に社長がなにげなく(?)言った口約束も労使トラブルの原因になったりします。

御社が採用時に雇用契約書を作成していれば、もちろんそれに従いますが、雇用契約書がなければ、どうなるのでしょうか?

働きながら、「ウチの会社はね・・・」と、少しづつ説明していきますか?それではどちらかが「こんなはずじゃなかった!」となったとき、労使双方で言った、言わない、聞いてない、の水掛け論になり、泥沼の労働紛争が始まります。詳細な雇用契約書を作っていない会社であれば、なおさら就業規則が力を発揮します。法律的に従業員は就業規則に従う義務があるからです。

守るべきを互いに守る

労使互いに『約束』をきっちり守りあうことが基本です。仮に労使で意見が異なることがあっても、「使える」就業規則があれば、「言った」「言わない」の水掛け論にはなりません。労働紛争を最小限にして、社長と会社を守ります。ルールがないから、もめるのです。

会社が守るべきを守り、社員にもしっかり守らせる、これが労務管理の実務です。

ほんとに怖いのは民事請求

今の時代、労働基準監督署の「刑事罰」よりも訴訟による民事請求の方が怖いかもしれません。最近の労働紛争において会社に対して非常に高額な支払命令が出ています。労働基準法だけを焦点に当てた就業規則では今の時代もはや片手落ちといっても過言ではありません。民法を踏まえた就業規則でなければ、もはや問題社員に向き合うことは不可能です。必要だから作るのです。会社のルールをあいまいに、明文化していないからこそ、会社の裁量権がどんどんなくなり、そこを問題社員に攻撃されるのです。

会社のリスク管理だけを考えても、就業規則はこんなに重要です!

最新の問題行動事例

これまで私がご相談をお受けした事例です。

こんな問題に直面したとき、御社はきちんと対応できますか?

これらは決して特殊なものではなく、どこの会社でも、明日にでも起こりうるといえます。就業規則で対策できることがたくさんあります。

これはほんの一部です。御社で思い当たることはありましたか?

ご相談はこちらへ

就業規則は労使の契約書

就業規則は民事上、会社と社員との契約書の役目を果たします。(平成20年3月労働契約法施行)

契約書はビジネスの基本

私たちはビジネスにおいて日常的に「契約書」を取り交わしています。

なんの約束もなければ、安心して取引はできません。何かあったとき、誰がどう責任を取るのか契約書で明らかにしておきます。当事者間で詳細に条件を定めておかないと、後日トラブルになることは誰でも知っています。民法や商法によって守られる権利があると分かっていても、やはり契約書を作成します。これはどうしてでしょうか?たとえ法律があっても、すべてが自分を守ってくれるとはかぎらないことをご存知だからではありませんか?

採用もビジネス

ビジネスなら口約束で取引なんて、危ないことはできません。通常は契約書を作成します。これを新入社員に当てはめてお考えください。

社員が「労働義務の履行」して会社が「賃金を後払い」する、契約が成立したのです。新入社員は実績のない新規取引先となんら変わりがありません。

そして月給30万の社員を一人雇えば年間人件費は500万以上になります。年間500万以上の契約です。契約書無しの採用(契約)はあまりに無謀だと思うのですが、いかがでしょうか?採用をビジネスのひとつと考えて、ルールを決めるのはごく自然なリスクヘッジです。入社時に入社試験、適性検査を実施したり、面接内容を改めて吟味したり、いろいろな工夫ができます。多くの会社さまで採用コンサルの需要が高くなっています。

最高裁も認めている!

会社には多くの社員がいますから、個別に細かい雇用契約を結ぶのは非常に困難です。最近は労働基準監督署の指導もあり、労働条件通知書を交付する(法律上義務付けられています)会社さまも増えてきました。しかしながらまだそこまで整備しておられない会社さまも多数あります。この他、雇用契約書を入社時に作成して、記名押印をもらう手続きを完全履行している会社さまは、まだまだ少数派です。確かに、これは中小企業にとっては手間のかかる作業です。

では雇用契約書がなければどうなるのでしょう?

仮に雇用契約書が無い場合であっても、就業規則を作成し、それを入社時にきちんと提示して合意を取れば、社員はその就業規則で定められた契約内容で働く義務が生じます。最高裁でこのような判例が出ています。

「労働条件を定型的に定めた就業規則は、一種の社会的規範としての性質を有するだけでなく、それが合理的な労働条件を定めているものであるかぎり、経営主体と労働者との間の労働条件は、その就業規則によるという事実たる慣習が成立しているものとして、その法的規範性が認められるに至っている(民法92条参照)ものということができる。・・・・

(省略)・・・就業規則は、当該事業場内での社会的規範たるにとどまらず、法的規範としての性質を認められるに至っているものと解すべきであるから、当該事業場の労働者は、就業規則の存在および内容を現実に知っていると否とにかかわらず、また、これに対して個別的に同意を与えたかどうかを問わず、当然に、その適用を受けるものというべきである。

秋北バス事件(最高裁昭和43年12月2日大法廷判決)

就業規則は「法的規範」、つまり「正式な会社のルール」であると最高裁も認める存在なのです。

就業規則の主導権は会社にあり!

就業規則は民法の基本である私的自治が当然に認められています。そして会社が主導権をもって作成することができるようになっています。

私的自治の原則法律に抵触しない範囲内で当事者間自由に定めることができる、これが私的自治の原則です。ここでは会社と社員の労使自治となります。

また労働基準法第89条で賃金、休日・休暇、就業時間、退職について一定の事項については就業規則に必ず定めなければならない、としていますが、それ以外は一定の範囲で会社の裁量で(つまり自由に!)定めることができるのです。

例えば、特別休暇や休職期間の定めなどは会社が自身の裁量で定めれば、それが会社と社員との合意内容になります。このほか、会社が社員に「して欲しいこと」、「して欲しくないこと」を明文化すればそれが自動的に社員の義務となります。

もし訴訟となれば就業規則で定められた内容が重要になりますから、あいまいな不文律ではなく、第三者(裁判所や監督官庁)が見ても分かるように、きちんと明文化するべきなのです。会社が裁量を持って決められるルールがあるのに、それを作らないでおくのはもったいないと思いませんか?

明文化しておけば、会社はそれを根拠に自らの意思を堂々と主張できます。また就業規則があれば、裁判などで争う前にしっかりと会社が社員と話し合うことが可能になります。

会社と社員が十分に話し合うことができれば、通常裁判や労働紛争には至ることは相当数、防ぐことができます。

就業規則は社長を守る

「就業規則なんか作ったら社員の権利ばっかり強くなるだけだ!!」

とお怒りの社長さま・・・お気持ちは分かります。

しかし「就業規則がある」ということは社員の権利だけ強くなって、本当に会社にとって足かせでしかないのでしょうか?

就業規則を作りたくない理由の第1位は、「法律をちゃんと守る自信がない」、第2位が「労働条件を明確にしたくない」です。これも確かに本音でしょう。(平成25年度 かとう事務所によるアンケート)

そんな心配は無用です。就業規則を誤解しておられる社長さまにお会いするたびに、こう申し上げております。

  1. 法律の基準に達していない部分は、法律を守れるように工夫して内容を引き上げます。
  2. 法律が求めていない部分については、会社の体力に応じた内容を文章で明確にするだけです。
  3. 会社が守れる約束をして、そして社員にもその約束を守ってもらいます。

労働者の権利は『労働基準法』という特別な法律でしっかりと守られています。つまり理不尽なことに問題社員も法律で守られているのです。

とすると、会社や社長を守ってくれるのは誰でしょうか?

労働基準監督署じゃないとしたら、弁護士さん?裁判所? いかがですか?

実は誰も守ってくれないのです。これはなんとも不公平な事実なのです。

ご存知のとおり、労使トラブルは著しく増加傾向にあり、在職中ならともかく、退職後に労働基準監督署へ相談・申告も珍しいことではありませんし、労働紛争や訴訟に発展して、会社が多額の解決金を支払うケースも年々増えています。私自身、ご相談を受ける内容がより深刻化しているように感じています。就業規則は会社の「正式なルール」です。法律は社員を守りますが、就業規則は必ず社長を守ります。

就業規則 カンタンチェック

就業規則で定めた内容が社員の義務となることはご理解いただけと思います。ここで御社の就業規則についてお聞きします。

そして「使える」就業規則かどうかチェックしてみてください。

もしひとつでも当てはまるものがありましたら、要注意です。

どこかのモデル就業規則のひな型、同業他社のものを(ほとんど)丸写しで作成した。

よく読むと問題点がいくつかあります。

(1)中小企業にはその水準が高すぎる。

大企業の雛形を流用すると、社員の私傷病で2年間休職できる、という規定が時々あります。

業績に貢献しない社員の社会保険料を、2年も負担し続けるなんて中小企業はなかなかできません。それとも覚悟を決めて(?)解雇して、不当解雇で訴えられますか?

この他にも特別休暇、退職金、慶弔規程も非常に高い水準であったりします。もし定めてある内容に無理があれば、実態に合った内容に変更するべきです。就業規則で定められた内容は、会社が仮に知らなくても(作ったことを忘れていた、普段から気にもかけていなかった等)社員の既得権となって会社を襲います。

(2)機密保持、自動車運行管理・インターネット・メール関連の規程がない。

いまやこれらの規程がなくては会社を守ることはできません。インターネットにより会社の機密管理が危うくなっています。道交法改正に伴い自動車事故、飲酒運転の厳罰化もあります。これらは個人の問題で片付けることができない、会社の存続にも関わる重大事です。しかし反社会的な行為でも、実際に社員を罰するには根拠となる規定が必要です。規定なしで重い処罰すれば権利濫用となってしまうことがあります。トラブルになってから規定しては遅いのです。当たり前の懲戒をするにも規定が必要です。

(3)休暇規定、賃金規程、退職金規程など関連立てて構成しなければならない諸規程が未整備。

労使トラブルは解雇、賃金、退職金が中心です。

これらの規程が就業規則の本則を通して一貫したルール付けがなされていなければトラブル時には使えません。休暇・賃金・退職金は法律で決められたこと以外に、会社裁量で決められる要素がたくさんあります。

すべて法律で規制されているわけではありません。会社の裁量権は想像以上に広範囲に及びます。実務的には会社の独自ルールが法律に違反していないかをチェックしたりしなければならないので、独力で条文化することは難しいものです。そのため、つい雛形を流用することにもなるのだと思います。

雛形版では法律を守ることに主眼が置かれていることが多いので、「会社裁量」の部分が定められていない、又は曖昧になっていたりします。

その結果、就業規則が会社にとって不利なものになることがあります。

(4)社長の「思い」や経営方針が反映されていない。

就業規則は社長(会社)が作るルールです。雛形は法律には沿っていますが、社長の思いにまで触れることは不可能でしょう。就業規則は社長の思いや会社の経営方針・行動指針を社員に伝えることができるツールでもあります。目的が見えないルールは空虚です。経営理念は是非盛り込みましょう。

(5)ウチ【自社】のルールです。ヨソ【同業他社】は関係ありません。

誰がなんと言おうが、就業規則は会社と従業員の約束であり、ルールです。ウチとヨソは違います。最低基準の法律以外、他に合わせる必要はどこにもありません。自社のルールでなければ結局「使えない」ことになります。必要な規定は会社の業種、規模、社長さまのお考えによっておのずと異なります。

作成してから10年以上そのままになっている。古くて使い物にならない。

近年パートタイム労働者労働法、労働契約法、高年齢法等、いろいろ法律は改正されています。会社は法改正を「知らなかった」では済まされません。

社員の問題行動も時代とともに変わってきています。ネットで会社の悪口を書き込む、茶髪やピアスに代表される身だしなみなど、かつてはそれほど注意されていなかった事柄ですが、現在は大きなトラブルになっています。

また御社も独自の社内ルールを変えていませんか?

ほんとに10年前と何も変わっていませんか?

会社の実態と規則の内容が大幅に違うと、トラブルの元になります。特に労使トラブルになりやすいものを挙げてみました。

  • 就業時間、休日が実際と違っている。
  • どんなときに解雇(試用期間中も)できるのか、表現が曖昧でよく分からない。
  • 定年年齢が違っている。又は定年制度がない。 雇用確保の条文がない。
  • 退職金の支給要件が不明瞭。支給されない場合の具体的記載がない。
  • 休職・復職制度、慶弔制度が実態に合わない設定になっている。
  • 有給休暇取得の具体的な手続きが記載されていない。
  • 退職までの具体的な手続きが記載されていない。
  • 服務(身だしなみなど)規律が不明瞭。抽象的な表現が多い。
  • 欠勤、遅刻、早退があったときの賃金取扱が具体的に記載されていない。
  • 残業代の計算方法が不明確。
  • 同業他社への就職、アルバイトに関する事項が記載されていない。
  • どんなときに会社が「懲戒処分」をするのか、具体的に示されていない。

就業規則は会社と社員の契約書(ルール)ですから、実態に合った内容に変更すべきです。法律を下回った労働条件ならすぐに改善しましょう。いきなりすべてではなくとも、できることが1つや2つあるものです。なにも会社ができないことを無理して定めるわけではありません。会社が実行可能な内容に改めるだけのことです。

育児・介護休業、看護休暇、妊娠中、出産後の母性健康管理の条文がない。

休日についての項目ですから該当者がいるか、いないかにかかわらず(男性のみの会社でも!)必ず定めておく必要があります。

もし条文がなくても、社員の権利ですから、請求されたら拒否できません。

社員の権利といっても、会社の裁量が利く要素もあります。

実際に請求されてから、会社が慌てるのは避けたいものです。

これを機会に、いっそ会社が気持ちよく付与できるように規定してみませんか?

セクハラの条文がない。

男女雇用機会均等法ですでに義務化されています。記載が必要です。

パート社員がいるけど、パート社員就業規則はない。

パート社員がいるにも関わらず、パート社員就業規則がないと、正社員の就業規則が全条文適用されてしまいます。正規社員用就業規則を工夫することで、一定範囲を適用除外とすることもできます。

退職金、福利厚生制度などをパート社員さんにも適用しても大丈夫ですか?パートさんが多い会社さまは、緊急に対応が必要です。

顧問税理士さん、経営コンサルタント、就業規則を専門にしていない社労士に作ってもらった。

就業規則は社長さんの想像以上に労使の権利義務関係に重大な影響を与えるものです。トラブルが行政に持ち込まれれば、会社は就業規則の内容で判断されますから、労働法以外にも民法知識も必要とします。近年のさまざまな法改正にも対応していなければなりません。就業規則作成には高い専門性が求められます。

社労士は確かに労働法を取り扱いますが、就業規則を専門分野とするかどうかは別問題です。社労士の中には年金、安全衛生、手続業務を専門に活躍しておられる方もたくさんいらっしゃいます。就業規則の専門家かどうか確かめてみましょう。

保有する資格の問題ではなく、税理士さん、経営コンサルタント、社労士さんのいずれにしても、日頃から実務と併せて、労務問題に高い関心を持ち、研究しているかどうかが判断基準となります。

金庫に大切にしまってあるので、社員には見せたことは一度もない。

就業規則は契約書であり、会社の正式なルールですから、仮に社員に秘密にしていても効力があると考えてください。社長は秘密にしていたつもりでもはるか昔の制定当時、社員にコピーを配布したことがあったりするものです。ある日突然誰かがそれを持ち出してきて、トラブルになることも考えられます。

先代社長時代の古い就業規則が突然出てきて、高額な退職金を請求されたケースがあります。

また就業規則を従業員さんにきちんと「周知」させることが、その有効性を左右します。

使えない就業規則に潜む危険は他にもいろいろあります。

「使える就業規則」はココが違う!「10のいいこと」

要は中身です。会社の体力に見合った、守れる約束をすればよいのです。

(1)実態に合っているから手続きがスムーズ、無駄がありません!

自社の実態・手続きに合わせた「使える」就業規則があると、社内の手続きがスムーズ、必要な事務に迷いがないから、社長も総務も社員もみんな『ストレスフリー』です。

入社退社、仮にトラブルがあってもムダな問い合わせの労力が少なくなり、みんな本来の業務に集中できます。総務や人事の本来の業務はトラブル駆け込み寺ではないはずです。無駄な一般管理費、労務費はOFFです。

(2)これからの企業にはコンプライアンスが不可欠です

今の時代、法令を遵守しないと内部告発などによる、予期せぬさまざまな目には見えない債務を抱えることになります。毎日、「企業の不祥事」としてなにかしらのマスコミ報道がなされています。無用な労務トラブルで失う会社のリスクはオカネ、人財、信用など有形無形さまざまあります。

未払い残業問題

◆サービス残業が発生していませんか?

全国の労働基準監督署はますます調査を強化しています。

「ウチの会社はずっと前から払ってないし、残業代も含めて基本給を設定していることを社員も理解してくれている」など、仮に会社と社員が了解していても、第三者(例えば労働基準監督署、裁判所)にそれを理解してはもらえません。もし基本給に残業代が含まれているなら、それが分かる書類(就業規則や雇用契約書)がなければ、違法となり、是正の対象となります。

◆残業代の計算方法は正しいですか?
残業時間の計算不足、計算単価の不足により未払残業代があると労働基準監督署の調査により、全社員の残業代を遡って過去2年分を支払う、又は直接本人から裁判を起こされ、過去2年に遡って残業代を請求される・・・という可能性もあります。

会社は「未払残業代」という隠れ債務を抱えてしまいます。

残業時間が問題になっているのでしたら、変形労働時間制を検討して工夫することも可能です。

「名ばかり管理職」の残業代未払い問題も深刻です。「名ばかり役員」にも注意が必要です。

行政が会社を追求!

労働法関連では、他にも不当解雇、セクハラ、パワハラ、労災隠しが考えられます。

こんな労務トラブルがひとたび起きれば会社の大切な利益は一気に流出してしまいます。労働基準監督署から是正報告を受けることになります。きちんと是正を行えば、会社は是正報告書を提出すれば問題は落ち着きますが、是正勧告を無視したりすれば、書類送検や逮捕という可能性もあるのです。そうなればマスコミ報道されたりしますので、会社のイメージに傷がつきます。

裁判所は本来中立の立場のはずですが、労使トラブルとなると、とても中立とは思えないほど、労働者側の見解を示します。相手が問題社員といえども、会社も法律に沿った厳正な労務管理をしていなければ、法廷では戦えません。

御社の実態に合ったルール作りをすれば、未払い残業、名ばかり管理職、不当解雇、セクハラの問題も行政を巻き込む前に解決できます。

(3)合法的に問題行動に対応できます!

仮に問題社員が入社してしまっても、「使える」就業規則があればスピーディーに問題行動を具体的に処理できますから、合法的に会社から去ってもらうことができます。順序立てた法律に即した手続きを記載すればよいのです。そして就業規則や社内手続書類を工夫すれば、問題社員が入社してこないような対策、仮に入社してもすぐに対処できる体制を盛り込むことができます。

(4)会社対応を標準化できます

トラブルはそれぞれいろいろなケースがあるので、処理がばらばらになりがちです。また行き当たりばったりの処理は最も危険です。

「使える」就業規則があれば、それに則り担当者は淡々と事務処理できますから、会社の損失を最小限に抑えることができ、その結果まじめな社員を巻き込まないで済みます。「前のときは、こうだった、あーだった」などと非生産的な調査をする必要はありません。会社に悪影響を与えるような問題社員の給与、福利費、採用費、教育費はOFFです。

(5)「社員の安心感」が得られます

目には見えませんが、明確な明文化されたルールがあることにより、社員はオカネに代えがたい安心感が得られます。この安心感が優秀な社員を会社に留めるのです。

一定のルールに従えない思考の持ち主は会社にいられないので、自然と全体の規律も整っていきます。そしてますます業務の効率性は上がります。

(6)会社も社員も義務と権利が明確になります

就業規則は社員の権利も明確にしますが、それと同時に義務も明確にします。会社が社員に「してほしいこと」、「して欲しくないこと」を明文化すると、会社が求める理想の人材像が明確になり、会社の特長をはっきりと表現できます。何を褒めて、何を罰するのかは労使双方にとって、非常に大切なことです。「期待される社員像」を明確に社員に伝えましょう。

就業規則は会社や社員を縛る目的で作成するのではありません。

やるべきことをちゃんとやってもらうために作るのです。

「まじめに」「一生懸命」、こんな抽象的な文言では、価値観が多様化した今、社員に伝わりませんから、実際の条文は具体的で詳細な表現になります。そのために「厳しい」という印象を持たれることもあります。じっくり読めば、組織として、また社会人としてごく当たり前のことしか書かれてはいません。一部の心得違いの問題社員にのみ、それが縛りと映るのです。

また一方で社長の分かりやすい言葉で記載することもあります。会社のオリジナリティーに溢れた規則が社員を活性化させるかもしれません。会社さま独自のルールを作っていけるところも就業規則の醍醐味といえます。例えば社員、奥様の誕生日や記念日休暇などを定めている会社さまがあります。

(7)社員のモチベーションが維持できる!

社員がどういう働き方をすると会社は待遇(賃金、賞与、役職、福利厚生)に反映させるのか?社員が分かる仕組みになっていれば、やる気も具体的な行動になります!会社が目指す方向と社員のやる気が同じ方向に向きます。同じ方向に向かっていればムダがないから、自然に業績が上がります。誰だって言ってもらえないと分からないものです。

(8)社員指導がカンタンになる

言われたことしかできない、教えてもらえないと分からない、こんな世代を指導するのは非常にストレスが大きい仕事です。部下に「一般常識だ!」と叱っていても問題解決になりません。「就業規則に○○はしてはいけない、と書いてあるから注意して○○してくれ」と指導すれば、部下も納得。上司の指導力の個人差を最小限にしてくれます。

中小企業の事業継承時も同様です。多くの創業者は、そのカリスマ性でこれまでぐいぐい社員を引っ張ってこられたでしょう。2代目経営者にそれを求めるのは酷な話です。ならば2代目経営者の経営方針を、分かりやすく就業規則に落とし込んで社員に伝えていく、という方法もあります。

(9)感情論を抑える

会社が日常から勤務態度について具体的に指導や説明をしていないと、ある日突然、感情論でトラブルになります。普段から素行に問題がある社員には社長が思わず感情的になり、「ついつい言い過ぎてしまった・・・」「口が滑ってしまった」ということはよくあります。そして、これが原因で社員とトラブルになるのです。

感情ですから、「法律とは関係のない」ところで、トラブルを起こす原因になっている「だけ」なのです。

「やるべきことをちゃんとやってもらう」、このことが社員に伝わっていれば社長が無駄に感情的になることはありません。また社員が労働基準監督署に飛び込む場合、感情が原因であることがほとんどです。法律はその次の問題なのです。「使える」就業規則は「感情の問題」もコントロールします。

(10)助成金受給の可能性がアップする

就業規則をキチンと整備しておくと、助成金の対象となることがあります。

近年創設された助成金はそのほとんどが、「就業規則を制定していること」、「就業規則を労働基準監督署へ届出していること」、「○○を就業規則で定めていること」という条件をつけています。この○○というのは、内容によって変わりますが、御社の経営方針に沿った改革をしつつ、さらに助成金がもらえる、ということもあるわけです。

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      一度御社の未来のためにお考えください。

小さな企業だからちゃんと作る!

使えない就業規則の真の問題は、「社員との信頼関係」が崩壊することです。

実態と異なる内容を定めた就業規則の運用を続けると、会社と社員の信頼関係が崩れます。もちろん、労使トラブルは避けられません。問題社員が退職してもしなくても、労使トラブルのせいで最終的には真面目な社員が去っていくのです。

会社が「法改正を知らなかった」とも言い訳できません。問題社員とはすでに信頼関係がなくなっていることがほとんどですから、会社の運用ミスを攻撃されてある日突然、それも退職後に裁判となって会社が訴えられることが頻発しています。中小企業に労使トラブルの備えなどありませんから、『訴える』と言われればうろたえます。もし実際に訴訟となれば訴えの内容がすべて公開されます。会社が築いてきた信用、利益、財産が一夜でなくなってしまうかもしれないのです。

大企業なら裁判するだけの余裕があるかもしれません。

中小企業は裁判を含めて、労使トラブルをいかに少なくするか、円満な労使関係を構築することに全力を挙げるべきです。限られた人員で日々努力しておられる中小企業に、社内でトラブっている暇などありません。

就業規則は経営戦略

就業規則の整備は、御社ができる最もシンプルな労務管理の第一歩です。

これがなくては人事制度、賃金制度、退職金制度その他、なにも見直すことはできません。このまま御社の労務管理を眠らせてよいのでしょうか。

売上を上げることと労務管理は無関係ではないと、多くの経営者がおっしゃいます。売上はヒトがいてこそ、上がるものだと思います。そのヒトの管理が充分でないとしたら、売上は、そして会社は、どうなるでしょう。

中小企業にとってヒトは大きな資産のはずです。世の中にはヒトの効率的な活用方法を探る為に人事コンサル、賃金制度、コーチングなど手法はいろいろあります。これらのコンサルは効果も高いでしょうか、費用も決して小額ではありません。中小企業には負担です。就業規則の「労使が約束を守る」、基本的なことこそ、いまある人財(私はあえて人材とは申しません)、ヒトを活用する身近な手法ではないでしょうか。

「就業規則」とは、会社の経営手段として、独自の裁量を持ちながら社会の

変化に対応する経営戦略です。

社内のトラブルで社長が本業に専念できなれば、労使の幸せはありません。

かとう事務所は

『就業規則は社長を守るから、労使双方を幸せにする』

この信念で、中小企業の社長さまをお手伝いいたしております。