労働契約書について

労働契約書って必要なの?

必要です。煩雑な作業ではありますが、次の3点の理由から、作成しておくことをお勧めします。

理由1

契約で賃金を払うのですから、契約内容を明確にしておかなければなりません。

雇用契約とは労使それぞれが労務提供と報酬支払を約した契約です。(民法623、624条)

つまり雇用とは、双務契約ですから、社員は会社が定めた「労働義務の履行」をしたことに対して、その後に会社が「賃金を支払い」する契約と定めているのです。

法律には「会社に来れば、賃金を支払う」と書いてあるわけではありません。会社は社員にしてもらうべき内容を定めておかなければ、それに見合った賃金を決められません。

理由2
一定の労働条件は書面を明示して伝えなければならないとする法律があります。(労働基準法第15条第1項及び労働基準法施行規則第5条第1項)
理由3
入社から「素早く契約書や通知書をきちっと作成できる会社!」というイメージが、「できる社員」をぐっと引き寄せます。同時に未来の問題社員を御社から遠ざけます。

理由2「労働条件は書面で明示」についてはこのようになっています。

明示する条件は、就業規則と同様に絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項があります。

絶対的必要記載事項
  1. 労働契約の期間に関する事項
  2. 就業の場所、及び従事すべき業務に関する事項
  3. 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制を導入していれば、その勤務の交代時間と順序
  4. 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金締切及び支払の時期、昇給に関する事項(賞与等臨時の賃金を除きます)
  5. 退職に関する事項(解雇事由を含みます)平成16年1月改正
相対的必要記載事項
  1. 退職手当を適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法、支払時期
  2. 賞与等臨時の賃金、最低賃金に関する事項
  3. 労働者に負担させる食費、作業用品等に関する事項
  4. 安全、衛生に関する事項
  5. 職業訓練に関する事項
  6. 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
  7. 表彰及び制裁の種類や程度に関する事項
  8. 労働者すべてに適用される定めに関する事項

以上のように労働条件は必ず明示しなければならないわけですから、ここできちんと整備しましょう。労働条件の「明示」とは「交付」を意味しているわけではありませんが、その書面を「明示」されただけでは後日に社員の記憶が曖昧になることも考えて、書面の「交付」が望ましいと思います。

平成20年3月1日から労働契約法が施行され、第4条で「労働者が労働契約内容の理解を深められるように書面で確認すること」(要旨)を規定しています。

労働契約書ではなくて、労働条件通知書ではだめなの?

通知書でも内容によっては問題ありません。しかし会社を守ることに重点を置けば、契約書が妥当です。冒頭でわたくしは、このようにお話しました。

「雇用とは、社員が「労働義務の履行」をして、会社が「賃金を後払い」する、双務契約です。」

労働条件通知書と労働契約書はほぼ同じ内容になるはずですが、違うところがあります。

それは、契約書なら双方が記名押印することで内容を確認したと判断できますが、通知書なら会社が一方的に交付することでも通知書の役割を果たしますので、社員さんが納得まではしていないかもしれないことです。結果としては当事者間のトラブルが契約書の方が少なくなるので、私は労働契約書の形で作成することをお勧めしています。

もし、やむを得ず通知書の形式をとる場合は、通知書下の余白に「上記内容を確認しました」、とサインと日付をもらうようにするとよいでしょう。

労働契約書ってどう作ったらいいの?

決まった様式はありませんので、書式は自由です。契約書に用いる条文形式でも良いですし、それでは堅苦しいので項目ごとに箇条書きでまとめる、ということもあるでしょう。記載漏れを避けるために、ハローワークや労働基準監督署にも雛形が置いてありますので参考にされるといいと思います。

こちらからダウンロードできます。

雛形に沿って、記入していけば完成です。

ポイントとしては、手間はかかりますが、「その他」の欄を利用して、会社が社員に求める内容をできるだけ具体的に盛り込むことです。服務規律の中から特に重要なものや、試用期間中の問題行動に対する処置などいろいろ考えてみましょう。