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就業規則作成のポイント

就業規則を作る前に知っておきましょう

必ず記載しなければならないことがあります

労働基準法第89条には、就業規則に必ず記載しておく絶対的必要記載事項と労働者に適用する定めがある場合には記載しなければならないという相対的必要記載事項の定めがありますので、それに従います。絶対的必要記載事項とは、就業規則を作るときには必ず記載しなければならないもの、相対的必要記載事項とは、その会社において社員に適用される事柄であれば記載しなければならないことです。

具体的にはこうなっています。

【絶対的必要記載事項】

  1. 労働契約の期間に関する事項、始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交代制を導入していれば、その勤務の交代時間と順序
  2. 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金締切及び支払の時期、昇給に関する事項(賞与等臨時の賃金を除きます)
  3. 退職に関する事項(解雇事由を含みます)平成16年1月改正

【相対的必要記載事項】

  1. 退職手当を適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法、支払時期
  2. 賞与等臨時の賃金、最低賃金に関する事項
  3. 労働者に負担させる食費、作業用品等に関する事項
  4. 安全、衛生に関する事項
  5. 職業訓練に関する事項
  6. 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
  7. 表彰及び制裁の種類や程度に関する事項
  8. 労働者すべてに適用される定めに関する事項

意外にたくさんありますね。法改正により育児・介護休業、子の看護休暇も「休暇」に含まれますから、すべての会社で定める必要があります。

本社以外にも支店や営業所もあるけど、どう作るの?

就業規則は事業所単位で作ることが基本となります。本社以外に支店、営業所、工場があれば、その事業所ごとに作成して、管轄する労働基準監督署へ届け出ることになります。そのため、同じ会社であっても、支店、営業所、工場で就業形態が異なることもありますので、その時は各事業所の実態に合わせた就業規則を作ります。しかし、平成15年2月からは就業形態がすべて同じで就業規則の内容も同一でしたら支店、営業所、工場の分も本社で一括して届出することができるようになりました。

作ったら必ず役所へ届出しないといけないの?

労働基準法第89条で「常時10人以上労働者を使用する使用者は一定事項について作成した場合、及び変更した場合には、就業規則を所轄労働基準監督署長へ届け出なければならない」(要旨)と定めています。この「10人」というのは事業所ごとに判断します。社員が常時10人(パート、アルバイトも含みます)以上いる会社さんでしたら、作成及び労働基準監督署へ届出の義務があります。具体的な事務としては、正副2部作成して2部とも労働基準監督署へ提出して、正本は監督署で保存し、監督署の受付印を押してもらった副本を会社で保存します。

「常時10人」というのは、常に10人以上という意味ではなく、パート、アルバイトも含めて入社、おおむね10人に達していれば該当します。

社員が常時10人未満の会社さんなら法的には作成及び届出の義務はないことになりますが、やはり労務管理上、作成することが望ましいでしょう。

監督署へ届出してないと、効力がない、って聞きましたが?

それは必ずしも正しくありません。就業規則の効力については諸説ありますが、就業規則が正しい手続き、つまり労働組合又は労働者の過半数代表者の意見を聞いて定められ、かつ労働者へ周知徹底が図られていれば有効です。常時10人未満の会社さんでしたら、法的には届出の義務がありません。

「労働基準監督署に対する就業規則の届出は、就業規則の内容についての行政的監督を容易にしようとしたものに過ぎないから、届出は就業規則の効力発生要件ではなく、使用者が就業規則を作成し、従業員一般にその存在及び内容を周知させるに足る相当な方法を講じれば、就業規則として関係当事者を一般的に拘束する効力を生じると解すべきである。<中略>(NTT西日本事件、京都地裁平成13年3月30日判決)」

つまり効力の有無は適正な作成手順と周知の実態が重要であり、届出をしたかどうかという形式のみで判断されるものではありません。周知方法が曖昧なため、効力が争われた事件もありますから、周知の方法には注意が必要です。最も確実なのは社員ひとりひとりに就業規則を手渡しすることだと思います。実際に社員みなさんそれぞれと「就業規則を読みました。この内容で就業します」という同意書を交わしておられる会社さんもあります。

就業規則はオーダーメイドが基本!

作成する最も重要な点は、各条文を次の2点をイメージしながら御社のルールに沿った条文にしていくことです。

  1. 今の会社の実態、手続きの流れに合っているか?
  2. 実際にさまざまな事例が起きたときを想像する

つまり100の会社があれば、同じ条文であっても100通りの可能性があるのです。決まりきったこと、という先入観を捨てて、御社で起こりうるいろいろな事態を想定して、じっくりと考えていくことです。

実態と合っていない、例外的なことが起こったときに対応できない規則では困りますし、かえって労務トラブルを抱える要因にもなりかねません。

結局そんな就業規則は「使えない」会社のお荷物になってしまいます。

私どもがお手伝いするときは、内容はもちろん、表現そのものにも注意を払い、全条文を検討していきます。

正社員以外の就業規則も大切!?派遣社員の就業規則はどうするの?

派遣労働者は派遣元に雇用されているので、原則として派遣元の就業規則が適用されます。御社が派遣を受け入れる先であれば、あえて派遣社員用の就業規則を定める必要はありません。しかし実際は受け入れ先で指揮命令を受けて働くことを考えると、受け入れ先における服務規律等を整備しておくことが労務管理上必要です。

そこで「労働基準法」はどう適用されるのか?という疑問が出てきます。

原則としては派遣元の事業主が労働基準法の責任を負いますが、一部派遣先事業主が責任を負う部分もありますので注意してください。【派遣法44〜47条】

条文 内容 派遣先 派遣元
第1章 総則
3条 均等待遇
5条 強制労働の禁止
7条 公民権行使の保障
第4章 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇
32条 労働時間
32条の2 1ヶ月単位の変形労働時間制
32条の3 フレックスタイム制
32条の4 1年単位の変形労働時間制
33条 災害などによる臨時の必要がある場合の時間外労働
34条 休憩
35条 休日
36条 時間外及び休日の労働
40条 労働時間及び休憩の特例
41条 適用の除外
第6章 年少者
60条 労働時間及び休日
61条 深夜業
62条 危険有害業務の就業制限
63条 坑内労働の禁止
第6章の2 女 性
64条の2 坑内労働の禁止
64条の3 妊産婦に係る危険有害業務の就業制限
66条 妊産婦の時間労働等
67条 育児時間
68条 生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置
第7章 技能者の養成
69条 徒弟の弊害排除

派遣社員にはさらに「労働者派遣法」という法律も適用されます。

パートタイマー、アルバイト、嘱託、契約社員の就業規則はどうするの?

就業規則は本来、その事業所すべての社員に適用されるものです。もし御社に就業規則がひとつしかなければ、それがすべての従業員に全面的に適用されてしまいます。「就業規則はひとつしかないけど、パート、アルバイト、嘱託、契約社員には全部適用できない」、とお考えでしたら、別途それぞれの就業体系に対応した就業規則を作成、届出をしましょう。

作成ポイント

  1. 適用する範囲の定義を明確にしましょう。

    就業時間が○時間未満の従業員、○ヶ月の雇用期間
  2. 基本給、手当、賞与、退職金、昇給の手続や条件を明らかにします。
  3. 残業や休日出勤の有無、もしあるならどのようにさせるのか?手続方法、条件を定めます。
  4. 年次有給休暇の付与日数や取得手続、比例付与の適用も考えましょう。
  5. 特別休暇、慶弔見舞、休職制度の適用の有無と手続方法、条件を定めます。
  6. 出向、異動、転勤の有無、もしあるならどのようにさせるのか?手続方法、条件を定めます。
  7. 服務規律、懲戒規定の適用の有無
  8. 機密保持、競業避止義務の有無

「使える」就業規則の作成に必要なものとは?

就業規則は会社の「憲法」になるものですから、実際の労務管理体制と矛盾があっては使えませんね。ですから御社の実態をここでしっかりと把握しておきましょう。主な資料として、以下の資料を揃えてください。整備されている部分、そうでない部分も見えてきます。

そして必要なのに不足している書類も分かってきます。どんな風に社内手続きをしているのか?イメージしながら順番にチェックしてみてください。

就業規則作成に関連する書類

  1. 採用に関する書類(採用・不採用通知書)
  2. 労働条件通知書、雇用契約書
  3. 身元保証書、誓約書(競業避止、機密保持)、給与振込依頼書
  4. 被扶養者異動届、通勤経路届
  5. 退職願、退職届、解雇予告通知書、退職証明書
  6. 会社の休日カレンダー
  7. 時間外・休日労働に関する協定届
  8. 1年単位の変形労働時間制労使協定書および協定届(年間カレンダー)
  9. 遅刻早退欠勤届、年次有給休暇取得届
  10. 特別休暇取得届、産休届、忌引届
  11. 時間外・休日残業申出書
  12. 休職願、休職確認書、復職願、復職通知書
  13. 始末書、顛末書
  14. 育児休業申出書、育児休業取扱通知書、その他書類
  15. 介護休業申出書、介護休業取扱通知書、その他書類
  16. マイカー通勤許可申請書
  17. 社用車使用許可申請書
  18. 出張許可申請書、出張旅費精算書
  19. 労使協定、協定届(事業外労働、専門業務型裁量労働、企画業務型裁量労働、フレックスタイム制、その他の変形労働時間制)

御社の労務管理に必要な書類は揃っていましたか?もし不足しているものがありましたら、早急に準備しましょう。

就業規則を作る実際の工程です(会社さまが独自で作成する場合をイメージしています)

まず下準備がいくつかあります。

準備(1)社内書類を集めて、分析します
社内の労務管理に関わる資料、帳票類を集めます。これで御社の手続方法や現況がおおむね分かります。
準備(2)就業形態を再チェックします
社内で就業体系(就業時間、休日、その他取扱)が異なる社員を分類して、一覧にします。
準備(3)過去の労務管理上の問題をチェックします
これまでトラブルになった(なりそうだった)、判断に迷った労務管理上の事例を洗い出します。
準備(4)未来の労務管理上の問題をチェックします

現在心配していること、改善したいと思っていること(労働時間、休日、残業問題、賃金、休職、兼業、競業避止、機密保持、メンタルヘルス、退職金など)挙げておきます。

会社の特長、方針など、例えば飲食業なら「接客」、製造業なら「品質」に関わる条文を考えてみてください。御社ならでは、という特色のある就業規則ができるはずです。

ここから、いよいよ作成です!

作成(1)素案を作りましょう

何もない真っ白な原稿から始めるのは難しいですから、必ず記載しなければならない条文を効率的に追うことを目的に、雛形を利用して条文ごとに御社の内容を当てはめていく方法が進みやすいでしょう。

ポイントはその雛形の内容をしっかりと検討しつつ、準備(1)〜(4)で洗い出しした内容を盛り込んで、条文化していくことです。

できるだけわかり易い、簡潔な表現にしていきましょう。長くなりそうでしたら、条や項で分けていくとすっきりします。

賃金、兼業、競業避止、機密保持、退職金などは特に条文が細かくなりますので、そのような場合は本則で委任規定を定めて別規程で取り扱うことをお勧めします。

作成(2)リーガルチェックしましょう

全文作成できたら、法令と合致しているか、検証します。

せっかく作っても法令違反ですと、それ自体が無効になってしまいますから注意してください。今は各都道府県労働局のHPも充実していますので、最新の法改正も分かりやすくなっています。利用してはいかがでしょうか?

それから、御社が盛り込みたい内容の条文が利用した雛形にはなかったかもしれません。記載漏れもチェックしましょう。社内手続に必要な帳票もここで同時に作成しておくとよいでしょう。実際に作ってみると、問題点が浮き上がってくることがあります。

作成(3)労働者過半数代表者を選出して、意見書を作りましょう

労働者過半数代表者を民主的に選出しましょう。

そして決定した労働者過半数代表者に就業規則を読んでもらい、渡した意見書に意見とサインを書いてもらいます。

作成(4)就業規則制定届を作成しましょう
表紙になる就業規則制定届を2部作成し、会社印を押します。
作成(5)届出をしましょう
管轄の労働基準監督署へ正副2部を届け出ます。副本は会社で保存します。

以上で完成です!
最後に・・・全社員に周知徹底しましょう。これで、いざ運用です!

周知とは?

「就業規則等を労働者が必要なときに容易に確認できる状態にあることが『周知させるための条件である』」(平成11年3月31日基発169号)と行政は説明しています。

具体的には、社員に1部づつ配布、PCで常時閲覧可能な共有フォルダにアップする、文書で各事業所に複数部設置していつでも閲覧できるようにしておくことをいいます。

社員への周知は就業規則の効力の有無も左右する重要な手続きですから、きちんと行っておきましょう。

このほか、「手渡ししても読んでくれるかどうか・・・」心配な場合や、後日のトラブルを避けるためにも、「就業規則説明会」を実施する会社さまもあります。

この時は、就業規則すべての説明をするのは物理的に困難ですので、「就業規則ハンドブック」のような小冊子や、コンパクトなレジュメを配布して、特に疑問が多く出そうな部分に絞って説明していくと効率的です。

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