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トラブルケーススタディ

社内のトラブル対処の基本はまず「指導・教育」です。(問題社員も同様)

しかしそれだけでは100%解決できないことがたくさんあります。そしてトラブルも会社さまによって程度・種類さまざまです。

このケーススタディでは指導・教育では対処できない場合、会社がどうするべきか?

また事前に対策可能なポイントは何か?についてお教えします。

遅刻や欠勤を繰り返す

本来、遅刻や欠勤は労働契約の義務違反であり、労働者の契約不履行にあたります。そのため普通解雇の理由になりますが、直ちに解雇というわけにはいきません。これを理由に解雇する場合は遅刻・早退の原因、理由、程度、本人の反省の有無、通常の勤務状況、業務に与えた影響度、従来の取扱などを総合的に考慮して判断しなければ、解雇権濫用として解雇が認められないことがあります。当分の間、会社は就業規則の服務規律違反としての懲戒を段階的に行い、教育、指導の効果むなしく、改善されないといった場合に、最終結果として解雇が認められます。注意書、始末書、指導書等の指導、懲戒の痕跡を残しておくことが肝要です。

行方不明のまま無断欠勤している

電話はおろか、書置きもないまま突然失踪、行方不明となれば会社は事故にでも巻き込まれたのではないか?と心配になります。しかし昨今はそういったケースよりも会社に退職の意思表示をしたくないため、または面倒と考えて、連絡もなしに欠勤を開始、そして消息不明という人も珍しくありません。ここでは後者の場合を考えます。本人から何の意思表示もないのですから、退職として単純に処理はできません。会社としてはすぐにでも懲戒解雇したいと思いますが、就業規則で定めた一定の期間経過後に退職処理する形が安心です。具体的に一定期間となる日数を定めて、行方不明を想定した退職規定が必要です。

無断欠勤を繰り返す

就業規則の懲戒解雇事由に「○日以上の無断欠勤をしたとき」と規定があれば、懲戒解雇に該当することは明らかですので、当然解雇手続に入ると思いますが、「懲戒解雇の通知」が本人に到達しなければ、法的効力が発生しないことに注意が必要です。懲戒解雇の「到達」については本人が知りうる状態におかれていればよいことになっていますから、郵送でも可能です。たとえ本人が短期間の旅行、留守をしていても構いません。判例では、家族に通知、社内報に掲載という手段では本人到達が否定されていますから、やはり会社は本人に伝える努力を惜しんではなりません。民間企業で万全を期しておかれるのでしたら、簡易裁判所の「公示送達の手続」が最も安心ですが、手間がかかります。最も簡便なのは、就業規則の退職手続の規定で、一定期間以上の無断欠勤をしたときは自然に退職に至るような内容に工夫し、そのことを周知徹底しておかれればよいと思います。

茶髪、奇抜なひげ・ピアスをする

「表現の自由」と言われて、対処に困る会社さまが多数あるようです。確かに服装やひげは個人の問題でもあり、仕事のためといえども、会社がどこまで踏みこめるのか疑問です。裁判所は、私生活上の自由であっても、労働契約上の規制が(服装やひげについて)就業規則に定められた合理的な範囲のものであれば労働者はそれに従った労務提供義務を負うべきであるとしています。「合理性」というのが分かりにくいところですが、企業経営する上で必要な規制かどうか、ということになります。サービス業と製造業ではおのずと必要な規制は異なることはイメージできますね。客先が民間企業なのか、公的機関なのかでも違ってきます。また最近はコンプライアンスの観点から利害関係者の信頼を維持することを目的に身だしなみを規制、規定する会社も増えました。もし茶髪を規制したい場合は、「茶色は禁止」という抽象的な表現ではなく、誰にでも伝わり、また確認できるようヘアーカラーの基準をレベルスケールの数値を用いて、具体的な条文で示してはいかがでしょうか。

レベルスケールについて詳しくはこちらへ(日本ヘアーカラー協会)

定期健康診断を拒否する

会社は労働者に定期健康診断を受診させる義務がありますから、当然に受診を命ずることができます。(安衛法665条)また法定外検診の場合は、就業規則に受診義務の規定があれば、それをもって会社は業務命令として受診させることができます。会社は労働者の健康を管理する「安全配慮義務」がありますから、これに違反してはいけません。全員分の検診結果を保管し、必要があれば労働者の配置転換、労働時間の短縮を配慮したり、検診結果そのものを労働者に通知しなければなりません。検診結果は個人情報だから、本人以外見てはいけない、なんてことはありません。但し機密情報として、会社の管理体制には気をつけてください。もし労働者に重篤な疾患があり、検診結果で会社がそれを知りながら放置したとなれば、会社に対して損賠賠償請求される可能性があります。

会社の制服や名札を着用しない

服装は本来個人の自由です。しかし職場においては利害関係者との信頼維持、安全・衛生管理の目的から、一定の服装を義務付けることは認められています。就業規則の服務規律で、その業務の特性、性質を考慮して合理的な理由で規定されていれば、それに違反する場合は懲戒処分が可能です。しかしこれは程度を考えて、いきなり解雇しないよう段階を経て教育、指導してください。

最近の判例で、人には氏名の表示を強制されない権利「氏名権」が認められつつあります。氏名の表示を不当に強制されたときは不法行為となる場合がある、ということです。

これも制服着用と同様に合理性が求められますので、氏名表示しなければならない必要性(お客様へのサービス)や表示方法(姓のみを表示)などを総合判断したうえで、着用を義務付けるようにしましょう。細かいことですが、本人着用の名札に写真を付ける場合、業務上必要な事情があれば、それが肖像権侵害になることはありません。

所持品検査を拒む

所持品検査については就業規則でその旨を定め、周知をはかった上で、慎重に行うべきです。なぜなら、所持品検査はその性質上、個人のプライバシーに大きく立ち入ることになりますので、あくまでも任意の協力のもと行わないと、会社の権利濫用として法的責任が問われかねません。業務との関連性が薄いときや、検査実施の必要性に乏しいものは無効な所持品検査になります。社員の協力を得た上で、他の方法では調査できないか、検討したがどうしても必要、となったときに公平な検査方法で実施してください。

そして就業規則に「所持品検査」を規定することを忘れないでください。

精神疾患で休職後、復帰可能の診断書をもって復職を迫る

復職を認めるか、否か、復職の条件に関しては絶対的に会社が主導権を持って判断しなければなりません。そのためには当然就業規則に休職、復職について詳細な規定が必要です。

よく誤解されることですが、復職可能の診断書があれば、必ず復職させなければならないわけではありません。会社が定める復職基準に達していて、会社が就労可能と認めた場合でよいのです。休職期間や休職期間満了後、復職できる基準に達していないときはどうなるのかが重要です。労働者の主治医はその労働者の仕事内容を詳しく把握せずに、労働者の意思を反映した(復職したい)、つまり就労可能の診断書を書くかも知れません。もし休職前と同じ仕事ができるまで完全に治癒していないのに、あわてて復職すれば、病状が更に悪化し、再休職、自殺という最悪の事態も想定されます。会社には「安全配慮義務」がありますから、慎重に進めましょう。復職の条件は、休職前に予め文書で具体的な条件を、労使双方で確認しあうことが大切です。復職希望時にその条件に達していないのであれば、退職してもらうことも必要かもしれません。

休職、復職を繰り返す

休職、復職を認めるか、否か、復職の条件に関しては絶対的に会社が主導権を持って判断しなければなりません。就労可能と医師が判断していても、客観的に業務内容や就労環境を理解しているのは会社です。しかし専門家である医師の『復職可能』の見解を拒否するには、それだけの理由、合理性を会社が立証しなければなりません。医師には守秘義務がありますから、会社が一方的に医師に説明を求めても拒否されるでしょう。患者本人と相談が必要です。方法としては、本人の了解を取った上で、労働者の主治医の説明を聞く、又は会社指定の専門医へ受診してもらうことが考えられます。就業規則で規定しておけば、会社が主治医の説明を聞く、会社指定医に再受診させることも指示できます。これを拒んだ場合は、どうしたらいいでしょうか?説明・受診拒否のみを持って復職を拒むことはできないと思いますが、復職にマイナス査定をすることは許されるでしょう。

リハビリ復職は認めるべきか

最近の判例では、完全に従前の業務に復帰できなくても、一定の期間の猶予をもって完全復職できる場合は、休職期間満了の退職を無効としています。私自身、リハビリ勤務は会社が非常にリスクを抱えることだと思っています。もし完全に治癒していないのに、あわてて復職すれば、病状が更に悪化し、再休職、自殺という最悪の事態も想定されます。予めリハビリ勤務満了期間を定め、そのうえで欠勤が続けば従前の休職と通算する、再休職させることを就業規則と休職前の同意書で明確に規定したうえで、実施しましょう。

始末書を出さない

懲戒処分が妥当であったことを証明する重要な資料が始末書です。中小企業で始末書を取ることは習慣にないかもしれませんが、これは事実関係の掌握と会社の処分の正当性を裏付けるものになります。個人の意思を尊重されなければならないため、会社が始末書を強制できません。つまり始末書を求めることは会社の裁量であって、それを法的に強制できないだけです。また「反省文」ですと一方的に謝罪を求めたりして、個人の思想にも係わるので問題になってしまいますが、単純に事実経過を記載してもらう形式の書面、例えば「報告書」「経過書」ならば業務の一環として提出を義務付けることが可能になると考えます。始末書を提出しない、ということ自体、「改める気持ちがない」証拠として考えることもできます。会社から一方的に(?)「注意書」を交付することで後日の指導証拠とすることも可能です。

協調性に欠ける

会社内で「協調性」とは?と言われると、抽象的で受け取る印象も個人差があるせいでしょうか、かなり悪質なものでないと協調性の欠如による解雇はなかなか認められません。協調性がないことで発生する悪影響はいかに大きいか、5,6人の少数人員の職場か、またはチームワークが乱れたことで重大な業務障害となる事態か、ということに判断基準が置かれているようです。つまり協調性の無さが、実質的に会社にどのくらいの影響を与えたのかが重要になります。単に「上司に口ごたえ」、「批判的な発言」、「業務指示に従わない」程度では無効になった判例があります。しかしながら会社が一丸となって、目標に向けて効率的に動くためには「協調性」は不可欠です。中小企業ならなおさらです。就業規則の服務規律をより具体的に定めて、協調性がない、という条文以外で具体的に指導や懲戒できる体制づくりが必要です。

人間関係がこじれた

人間関係がこじれたことだけを理由に解雇はいささか早急です。解雇権濫用のおそれがあります。濫用とならないためには、まず解雇しないで済むような措置を、会社がしたかどうかです。例えば配置転換、異動などがあります。それからこじれた人間関係を上司や会社がどう指導、回復努力したのかが問われます。従業員間の問題であっても、会社には職場環境の改善努力が課せられています。見て見ぬ振りはいけません。これらの対応を行ったうえでも関係が修復されないときは解雇も考えます。

会社や上司、同僚の悪口を言う

一概に言えませんが、悪口を言われた、ことだけを理由にいきなり解雇はできません。やはり中傷、誹謗の内容、程度、それが会社秩序に与える影響の度合いを総合的に考えることになります。そして勤務態度にも誹謗中傷の影響が出て現に問題が生じていれば、それを理由に解雇も考えられます。就業規則の服務規律で社内秩序を乱すような誹謗中傷を禁止する規定を入れておきましょう。誹謗中傷が事実であれば、書面で注意を喚起して、証拠を残しておきます。

新人をいじめる、嫌がらせをする

人間関係はどこの会社でも悩みの種です。会社には職場環境を整える義務がありますから、人間関係は個人の問題、と考えるのは問題です。いじめで貴重な人材が流出することもあるわけですから、放置してはいけません。とにかく詳しく事情を聴き、どちらに非があるのか、冷静に判断しなければなりません。被害者が能力不足の社員の場合、会社は公平な判断が出来にくいものですが、いじめや嫌がらせの問題行動の事実関係を調査し、当事者に指導、教育をします。事実関係を把握する場合、当事者はもとより周囲の者にも聴き取りして、後日証拠となる記録を残してください。これまでの私の経験上、配置転換や異動で解決できることもあるようです。そして繰り返し指導、教育を行っても改まらない時は、懲戒規定で解雇処分も考えなくてはなりません。

消費者金融から催促が来る

これだけで解雇はできませんが、取立の電話や来社があることにより業務に支障が出る、

となれば業務上、合理的な理由となりますので、配置転換や異動が可能です。借金の取立てが来る、というところまでは私生活の問題ですが、会社の同僚からも借金をしている、それにより仕事が手につかない(自動車運転など心配です)、周囲を巻き込みトラブルとなることもあります。取立ての時間や方法に問題があれば、会社は業者にその旨を毅然と伝えていきましょう。その上で本人に注意、指導しても改まらないときは就業規則に従って懲戒処分も可能になります。降格の懲戒規定があれば役職の降格も可能です。

給与や退職金が差し押さえられた

このような事態になれば当然、会社は本人から事情を聞かなければなりません。現実に会社に差し押さえが来た段階で、これは私生活の問題を超えています。差し押さえ事務に必要な基本的な事柄を聞き取りし、状況によっては弁護士や司法書士に相談することを助言するべきでしょう。給与、退職金については原則的に手取額の4分の3は差し押さえ禁止です。但し取締役は労働者に該当しませんので、全額差し押さえられます。(民事執行法152条1項2)

自己破産した

差押えと同様に、自己破産も私生活に属する問題なので、これだけで懲戒や解雇はできません。よく誤解があるようですが、仮に破産しても戸籍にもなんの記録も載りませんし、選挙権等にも全く影響は与えません。あくまで個人の問題となります。それからあまり知られていませんが、自己破産によって一定の職業に付けなくなることがあります。証券会社、生命保険、損害保険の外務員、旅行業者、警備業、風俗営業店の管理者、弁護士、税理士その他士業が主なものです。これら一定の資格があるために結んだ雇用契約であれば、労働者からの労務提供が不可能になりますから、解雇理由になります。

試用期間を延長したが、能力、適正なし

試用期間中であっても解雇するときは合理的な理由が必要です。仮に解雇予告又は解雇予告手当が要らない入社後14日以内の解雇であっても、合理的な理由が必要なことは変わりません。

合理的な理由の事例
遅刻、欠勤が多い、上司や業務命令に従わない、能力・適正がない

試用期間中の場合は本採用後よりは若干緩やかな雇用契約の解除権が認められているだけです。能力・適正がない、というのは合理的理由には違いないのですが、これを会社が客観証拠で立証することはなかなか難しいことです。もし立証する場合は時間や数量の客観的な指標によって判断できるようにしましょう。○時間で○○をミス○個以内で仕上げるなどです。そして能力、適正が不足しているならそれを改善するために、会社は教育努力をしたか、と問われます。採用したのは会社ですから、試用期間中であれ、十分な指導義務を果たすことが必要です。

能力不足で困る

試用期間が終わった成績不良社員を解雇するには、2つのポイントがあります。

  1. 成績不良が「著しい」、向上の見込みなし
  2. 会社が教育・指導にどれだけ努力したか?

成績不良が「著しい」については会社の存続に重大な支障や損害が出る恐れがあり、客観的事実に基づいたもので立証されなければなりません。そして会社は解雇に至るプロセスで配置転換、異動、教育、指導等をきちんと行ったかが問われます。後日「不当解雇」と騒がれないよう配慮が必要です。解雇は基本的に難しいものですから、社員の能力不足を後日会社が立証できるように、日頃から問題行動の都度、始末書、顛末書を書かせて、指導教育することを徹底します。

ヘッドハンティングしたのに能力不足

引き抜きしてきた従業員に思ったほど能力がなかった、というのはよくあることです。基本的にこれは会社が負うべきリスクと考えるのが妥当ですが、高度な知識や能力を持っていることを前提に地位を特定して雇用契約を締結する「地位特定者」の場合は事情が異なります。例えば年間売上○○○万円を必達することを雇用条件に、営業部長で採用したとき、この契約内容に定めた能力がなければ、それを理由に解雇が可能です。

但し雇用契約書でこれらの条件を定め、達成不可能であったときは解雇の可能性があることを明記しておくべきです。

一般従業員の場合は、地位特定者より雇用条件が曖昧なことが多いので、より解雇は難しくなります。まず配置転換、異動を実施して雇用継続の努力をする必要があります。会社がこれらの配慮なしで解雇すると、解雇権濫用として無効になる恐れがあります。

退職勧奨したのに、解雇されたと訴える

整理解雇は4つの条件があります。

  1. 人員整理の必要性
  2. 人選の合理性
  3. 解雇回避努力の有無
  4. 手続きの適正

退職勧奨は労働者の自由意志で承諾拒否できるので、この点が解雇とは明らかに異なりますから、この4要件を満たす必要はありません。

退職を説得するための方法や手段について注意が必要です。判例で違法とされたケースは、暴力行為をした、仕事を取り上げた、常識を逸した回数・時間の説得などがあります。社員の自由な意思決定を妨げるような方法は慎まなければなりません。退職勧奨の経過を文書に残して、「退職の合意書」を作成しておきます。解雇と言われないように注意して話し合いをしましょう。

学歴、職歴を詐称または犯罪歴を秘匿

詐称や秘匿すること自体、労働者と会社の信頼関係が壊れる可能性のある重大事件ですから会社としては厳しく対処したい、と思うものです。しかし詐称、秘匿の程度によって、懲戒処分が認められるかどうか分かれます。もちろん前提条件として就業規則にその旨が規定されていることが必要です。程度については、その経歴や職歴が採用の重大な条件になっていたかどうか、それで得られる労働者の利益の大きさ、業務に重大な影響が与える内容かどうかで判断されます。もし募集時に「学歴不問」や「未経験歓迎」、といった条件に採用したときは、学歴、職歴詐称が解雇の理由にはなりにくいと思われます。そのような事情も考慮に入れて総合判断されます。

職場外で刑事事件

私生活上の問題に会社は干渉できないことが原則です。しかし私生活上の問題であっても、それが業務に重大な悪影響を及ぼした、会社の信頼が失われたなどの状況になれば解雇も可能でしょう。ただどの程度が解雇に相当するのかは個々の事例でさまざまです。会社の事業の性質や規模、社会に与える影響を中心に判断されるのですが、重大な性犯罪は業種を問わず解雇有効となるケースが多いです。業種で考えると、例えば運輸会社で飲酒運転をして、逮捕となれば報道により会社の信用が失墜することもあります。業務内容から特別に厳しく罰することが相当性あり、と考えられます。やはり仕事柄、といえます。これら懲戒処分を実施するに当たっては、当然就業規則の懲戒規定に盛り込んでおく必要があります。

忙しい時期に平気で長期の有給休暇

繁忙期に長期連休なんて常識的にはとんでもないわけですが、年次有給休暇は労働者が申し出たとき、理由の如何にかかわらず取得させることが原則です。労働者が理由を言わない場合でも休暇取得を拒否することはできないことになっています。これに対して会社が対抗できるのは、「時期変更権の行使」です。これは休暇取得によって正常な業務が妨げられる場合、例えば代わりの人員が手配できないために労働者に対して、「取得時期を変更してください」というものです。これはそもそも人手不足が常態化していたときは、時期変更権が認められないことがありますので、適正人員の配置を考慮してください。会社対応として、理由を申し出た場合は時期変更権を行使しない、理由を言わなかった場合は時期変更権を行使する、など対応に差をつけることがあってもそれ自体は問題にならないと思います。無駄なトラブルを避けるためにも、就業規則の休暇取得手続きの規定で「休暇取得は○日までに行う」と会社の事情にあった条文にしておかれるとよいでしょう。但し、○日に法的強制力はありませんので、お願い規定となります。(訓示規定)

病気理由で休暇取得して海外旅行

これもまた会社としては非常に不快な事例ですが、休暇をどう使うかは労働者の自由であるので、休暇理由が嘘だから欠勤扱いにするとか、年休を無効にするわけにはいきません。しかし就業規則で「虚偽の申告、報告をしたときは懲戒に処す」という規定があれば虚偽の理由を会社に申告した、ということで懲戒をすることは可能です。

欠勤後、年次有給休暇に振替を要求

急病で欠勤したときにその欠勤を有給に事後振替をすることはありますが、これは会社の裁量により可能なものであり、従業員の申し出に対し会社が対応しなければならないといった義務はありません。よって会社裁量でご判断くださって結構です。

残業を拒否

雇用契約書や就業規則で時間外労働をさせることを規定し、かつ36協定を締結・届出しておられるのでしたら、残業を当然に業務命令として指示できますし、労働者にはその義務があります。もし拒否すれば業務命令違反ですので、懲戒規定で処分も可能です。できるだけ繰り返し注意、指導した上で、懲戒処分に付していきましょう。これはパートタイマー等の非正規社員にも該当します。パートタイマーの場合は家事や育児、介護の両立をさせていることもありますので、その点は配慮してください。また処分するにしても残業拒否がどの程度か?で懲戒の程度も変わります。急な残業命令ばかりで労働者側の都合を考慮せず、では会社の権利濫用となります。ご注意ください。

勝手に残業する

未払い残業の取り締まりが強化されている昨今、会社としてはきちんと対策しなければなりません。まず残業は上司の指揮命令で行うこと、上司の許可のない残業は認めないことを就業規則に明記し、社員全員に指導・教育します。

会社は不必要な残業をする社員を黙認してはなりません。黙認は「残業を認めた」ことになりますから、タイムカード通りに残業代を払う必要が出てきます。残業申請書を使って厳格管理する、タイムカードを上司のデスク近辺に設置するなど上司が管理しやすくする、残業時間は労使がサインの上、記録するなど御社に合った方法を考えて、時間管理するようにしてください。口頭で注意しても改まらない場合は、書面で「注意書」を交付しておきます。

休日の接待ゴルフは休日出勤?

会社が明確に業務指示したものであれば労働時間となります。しかしこれらの条件が整わない場合、例えば上司の指揮命令がない、業務とは直接の関係がないなら労働時間として扱う必要はないと考えます。

夜のアルバイトする

会社と労働者は、一定の時間(所定労働時間)に労働提供義務の契約をしただけですので、それ以外のプライベートな時間をどう過ごそうかは、本来自由です。そのためアルバイトをしているだけで懲戒処分はできません。しかし認められるかどうかは雇用契約書や就業規則で規定された内容によります。アルバイトする業種によっては会社の信用にイメージにマイナスになるので、やはり禁止したい、という会社さまもあります。就業規則で兼業一律禁止も合理性があると認められてはおりますが、むやみに一律禁止、するよりは、会社の正常な業務運営のため、いっそ兼業を就業規則で許可制にしてしっかり監督してはいかがでしょう。会社のイメージダウンのほか、会社に内緒でアルバイトが横行すると、第2の職場で生じた業務上および通退勤時の事故が起きたとき、労災をどちらの会社で対応するのか判断に困るという事態も想定されますから、許可・届出を徹底させます。

社宅の明け渡し拒否

使用料の金額によって解釈が分かれているようです。低額な場合は借地借家法の適用はなく、雇用関係の延長線上にある特別な契約と判断されます。つまり会社が就業規則で社宅取扱の規定を定めていれば、会社はそれに従って明け渡し事務をすればよいのです。トラブル防止のためには、退職の状況(特に死亡)によって多少の猶予期間をもって望むことが必要です。

研修の業務命令を拒否

研修を業務命令として行う場合は就業規則で研修規定を定めましょう。もしこのような規定がないときでも、会社業務の改善、効率化を目的に研修参加を命ずることができます。しかし研修内容があまりにも業務とかけ離れたものであったり、宗教性が非常強くなったりしたときは研修の合理性がなくなることがありますので、注意が必要です。

高額な研修受講した直後に退職

会社費用で研修をさせたのだから、今後は会社に貢献してくれ、と思っていた矢先に退職を告げられたら、費用の即時返還を考えてしまうことでしょう。しかし退職を理由に研修費用を返還させることはできません。理由は「雇用契約の不履(退職するなら)にあたって違約金や損害賠償(研修費用を払ってください)を予定してはいけない」(労基法16条)に違反してしまうからです。このため、会社が研修費用を本人に貸与(金銭貸借契約)して、一定期間経過後はその返済を免除する規定を定めて対応します。一定期間はそれぞれ会社の実情に応じて決めましょう。しかしこの貸与形式を取るときに、何でも貸与形式にできるわけではありません。本人が希望した留学などは問題ないでしょうが、業務に密接に関係のある研修、または会社指示による研修であったときは経費として会社が当然負担するべきものであるときは認められません。そして退職時の一括返済を給与、退職金からするときは、24条賃金控除の協定を締結したうえで行います。

転勤を拒否

雇用契約書や就業規則で『転勤、異動』を規定していれば、会社は業務命令として命令できます。社員の個別同意は不要ですので、正当な理由がない場合に拒否したときは就業規則の懲戒規定で処分が可能です。しかし転勤、異動によって受ける労働者の不利益があまりに大きいときは、転勤拒否だけでいきなり解雇できません。労使で話し合いをして、会社が配慮を重ねて、解決を図るのが理想です。

出向先で業務指示に従わない

出向先における行動を懲戒処分する場合は、出向元(雇用元)が行います。理由は出向元が業務命令として「出向先で仕事しなさい」と送り出し、本人は出向先の指揮命令で誠実に労務提供することを求められているからです。労務提供義務違反による懲戒を就業規則で定めておきましょう。

自宅待機命令に従わない

「自宅待機」には2つのケースがあります。懲戒としての出勤停止、業務命令としての自宅待機です。出勤停止は懲戒処分ですから、就業規則に規定しておかないと命令できません。業務命令としての自宅待機は、労働者の言動により職場秩序を乱すときや労働者の疾病療養があります。これらはいわゆる会社の業務命令権として行われるものなので、就業規則に規定してなくても必要なら命令できるとされています。トラブルになるのはこの自宅待機中の賃金の取扱です。懲戒として出勤停止の規定に無給の定めがあれば、もちろん賃金支払義務はありません。業務命令権としての自宅待機は、自宅待機=業務命令=労働者は会社が命じた労務を提供しているので、会社には賃金支払義務があります。例えば会社で不正行為をして、その証拠隠滅の恐れがあるから自宅待機させる、などの特別な理由があるときは賃金支払の義務がなくなることもあります。疾病療養は病状に照らして、自宅待機が妥当なものかどうか専門家の意見を聴く配慮が求められています。

退職願を後日撤回

退職願は会社が承諾するまで撤回は可能です。会社に退職願が届き、決裁権のあるところがこれを承諾して、本人に通知した時点で退職が成立します。つまり本人に退職を認めたよ、と会社が伝える前までは撤回が可能ということになります。もし退職して欲しい人材からの退職願が来たときは、その日うちに社長に伝え、かつ本人に承諾通知して、退職を有効に成立させます。そして念のためにも「退職願の撤回はできない」ことを、就業規則に規定しておきましょう。

退職願はないが、売り言葉に買い言葉「こんな会社を辞めてやる」

退職には2つのタイプがあります。

  1. 合意解約(会社と社員が合意)
  2. 辞職(会社の承諾なしで一方的に辞める)

退職は退職願を提出することが要件ではありませんので、口頭の意思表示でももちろん成立します。売り言葉に買い言葉のケースは、そうなった経緯やその場の状況、退職の意思など総合的に判断する必要があります。

通常『辞める!』と言って、出社しない場合は、退職が成立したと考えてよいでしょう。万が一のためにも就業規則で無断欠勤の対応を定めておかれることをお勧めします。

『いやなら辞めてくれ』、このように会社が通知したときは、原則解雇となります。

社長さんの感情の高まりには十分に気をつけてください。

退職か解雇か、の問題では、裁判所は会社に厳しい対応をしています。元社員が退職金を受領していてもそれは退職ではなく「解雇」となった判例がありますし、解雇理由によっては、解雇そのものの違法性を問われ、解雇から判決確定時までの逸失利益や慰謝料を請求されることもあります。

退職願さえあれば心配ないか

通常本人から「退職願」が提出されていれば心配ありませんが、行き過ぎた「退職勧奨」には注意が必要です。職場でいじめやいやがらせがあった場合は逸失利益や慰謝料を請求された事例があります。強引に「退職願」を取る退職勧奨は問題が大きいことを知っておきましょう。とにかく「退職願さえあれば大丈夫」とはいかないようです。

退職後に横領の不正発覚

着服や横領による損害賠償は当然請求するとして、すでに退職が成立していますから、いまさら不正による解雇はできません。では会社としてはこの不正に対してなにができるのでしょうか?通常は退職金の取扱を考えます。就業規則で「懲戒解雇に相当する事由があるときは退職金を支給しない」定めがあれば、退職金を不支給または減額とすることができます。但し全額不支給とする場合はそれ相当の理由、長年の勤続功労を消滅させるほどの重大な背信行為に限定されます。とにかく不支給規定がポイントです。

そして退職金の支払時期は退職から数ヶ月後など、ある程度猶予を持っておかれた方がいいでしょう。すでに退職金を支払ってしまったときは、やはり就業規則で不当利得として、退職金の返還請求する旨を規定して対処します。

退職後の守秘義務を守らない

従業員は「雇用契約上の誠実義務」がありますから、就業規則の定めに関わらず業務上の守秘義務を負っています。そのため就業規則や雇用契約書に機密保持規定がなくても損害賠償請求や差止請求(不正競争防止法第3条)が可能とされています。

しかしやはり損害賠償を心配することより、従業員に機密保持を厳守させる方が合理的ですから、就業規則や誓約書でその旨を具体的に定めておきましょう。退職後の運用はあまり実用的ではありませんが、会社が出来る対策として退職金があります。就業規則で懲戒解雇に相当する事由として守秘義務違反を規定して、退職金を不支給または減額する規定を定めます。

機密情報を持ち出す

無断で会社書類や用紙を持ち出せば窃盗が成立しますが、情報そのものの場合はそれができませんので不正競争防止法の罰則で対応します。機密情報の条件は3つあります。

  1. 秘密として管理されていること
  2. 会社運営に有用な情報であること
  3. 公に知られていないこと

これらの条件を満たしていないと機密情報として扱われないので、会社の管理体制によっては法律の保護を受けることができません。注意してください。法律で罰則はありますが、会社の情報漏えいはどの企業にとっても大きなリスクです。就業規則や誓約書で機密保持を規定し、注意喚起しましょう。

同業他社に転職

在職中に知り得た顧客情報を利用してきわめて不公平な競業を行うことは、特約がなくても競業避止義務違反として損害賠償を命じた判例がありますが、一般的には特約が必要とされます。また特約が合理的かどうかの判断基準は3つのポイントがあり、競業禁止する期間・地域・業務の範囲を限定していることが挙げられます。会社側の対策としては就業規則で懲戒解雇に相当する事由として競業避止義務違反を規定して、退職金を不支給または減額する規定を定めることになりますが、これも無条件に認められるわけではありません。長年の勤続功労を消滅させるほどの重大な背信行為かどうか、競業禁止の必要性、労働者の地位や職種との関連等、個別の事情を考慮して総合的に判断されます。

社内でヘッドハンティング

人には転職の自由がありますから、それだけで違法性を問うことは困難です。しかし転職の勧誘が一斉かつ大量で、会社の経営方針を中傷するなどの行為があった時は、雇用契約上の誠実義務違反として違法性が認められる場合があります。損害賠償としては、退職者がもし退職せずに稼動していたら得られたと思われる逸失利益2か月分が認められたケースがあります。人には転職の自由がありますから、ヘッドハンティングされただけで懲戒することはできません。

昇格を拒否する

昇格は従業員の権利ではなく、会社の人事行使権による業務命令です。もしこれを拒否する場合は懲戒の対象とすることは可能です。但し、会社が不当な動機や目的があるときは権利濫用になり無効と判断されます。(労働組合員の資格を喪失させようと部長へ昇格させようとしたが本人に拒否され、会社が論旨退職させようとしたケース)

職務怠慢の降格拒否

懲戒処分として行われる場合と、人事権の行使として行われる場合の2つがあります。懲戒処分として「降格」を行う場合は、就業規則で「降格」が規定されていることが条件です。人事権の行使なら、能力不足や業績不振を理由として資格等級が下がる、降格があります。人事権の行使であっても資格等級が下がることに伴って給与も下がるような場合は、就業規則(資格等級規程)に「降格」規定があることが必要になります。

単に役職を解かれるような場合は、会社の裁量権の範囲内ですから就業規則に直接規定がなくても降格は可能です。しかし予め高度な知識や能力を持っていることを前提に地位を特定して雇用契約を締結している「地位特定者」の役職を外すことは、会社側の一方的な契約内容の不利益変更になりますので、注意してください。能力不足の地位特定者の場合は降格より契約不履行による「解雇」が検討されるべきでしょう。

人事考課に不満を言う

昇格、降格ともに会社に裁量権がありますが、トラブルになりやすいので公平な人事考課制度を整備すべきです。裁判所も会社の裁量を広く認めていますので、会社に不当な動機(いやがらせ)があったとか、評価が著しく合理性、妥当性を欠いたものでなければ違法性は問われません。今後のトラブル防止のため評価制度の透明性を向上させる必要があります。

セクハラ事件が起きた

会社は事実関係を早急に明らかにし、状況に応じた対応をしなければなりません。これは個人的な問題ではありません。程度によってはセクハラをした本人を懲戒することにもなります。就業規則で定めた懲戒規定に従い、厳正に処分すべきですが、処分を決定するに当たっては密室で行わないよう、懲罰委員会などを活用してください。会社対応が遅れれば被害者側の感情は訴訟へ向かいます。訴訟になると損害賠償はセクハラを行った本人のみならず会社にも請求されます。会社対応の遅れが多くの紛争の引き金になっています。通報窓口を担当する社員にも周知して、迅速な対応を徹底しましょう。

社内恋愛に夢中

恋愛は個人の問題ですので、会社が社内恋愛を一律禁止することはできません。就業規則に規定しても無効ですから、あきらめましょう。しかし社内恋愛によって業務中に痴話げんか、仲が良すぎて周囲に迷惑をかけるような場合もあります。このような事例に対処するために、服務規律で私的な会話を制限する規定を設けてはいかがでしょうか。会社には職場秩序調整義務がありますから、しっかりと当事者を注意、指導するべきです。状況によっては軽めの懲戒処分、配置転換、異動も検討します。

社内不倫が発覚

不倫は反社会的行為であることに間違いないのですが、あくまで私生活の問題です。個人的な問題ですから会社は不倫の事実だけで通常解雇はできません。しかし会社の企業運営に重大な影響を及ぼした場合には解雇が認められるようです。これまでの判例を見ますと、例えばパイロット、教師、消防職員はその業務の特性から「適格性を欠く」ことにより解雇が認められています。これも仕事柄が大きく影響するケースです。

私用メールで業務に支障

会社で給与をもらいながら、私用メールなんて許せるわけはないと思いますが、「程度による」、と考えるべきです。服務規律には私用メールを禁止する規定を定めておけば、職務専念義務違反ですから、懲戒が可能です。しかしいきなり懲戒するのではなく、繰り返し指導・教育を行って職務に専念させましょう。

社員のメールチェック・モニタリングは基本的に可能です。会社設備を使って私的使用は本来ありえないからです。しかしこれらの調査を就業規則で規定し、抜き打ち検査にならないよう事前に周知させて、かつプライバシーを侵害しない配慮が必要です。特にメール閲覧については、本文ではなくタイトルについて閲覧、などの調査をお勧めします。

ネットで会社を中傷する

言論の自由は尊重されますが、書き込まれた内容が事実ではないとか、機密情報であったときは企業秩序を乱したとして懲戒が可能です。悪意の書き込みが発見されたときは、まずはその書き込みを削除させます。そしてその書き込みにより会社のイメージダウンや信用失墜があれば損害賠償請求も考えられます。

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